
鈴木は富美子の負債の整理をしてくれた。しかし結果は厳しかった。住宅を売り払って負債の返済に充てたのだがなお200万ばかりの負債が残った。
富美子たちは義理の父母と子供ともども狭い賃貸住宅に移り住んだ。狭くても東京近郊では家賃が15万前後かかる。
負債は減りはしたが、これから先、負債の返済と家賃だけでも月に20万、4人の生活費を含めると優に50万というカネを稼ぎ出さなければならないのだ。
(あんなに安く住宅を手離したくなかったのに・・、鈴木さんにだまされたのではないか・・)富美子は疑念を抱かざるを得なかった。
疑念といえば、鈴木の仕事もそうだった。金融、不動産、人材開発というから堅い商売だと思っていたら、そうではないらしい。
やみ金、地上げ、不適切な人材斡旋などあくどいビジネスをやっていることが富美子にも徐々にわかってきたのだ。
しかし、今となっては鈴木を頼るよりほかに道は無い。そうしなければ家族を路頭に迷わすことになる。
その日、富美子は新宿界隈の古いビルの一室に来ていた。鈴木の事務所である。
「僕が担当するように言われています、人材課長の安田です」
鈴木に就職を頼みに来たのだが、部下に任せたらしい。安田は品の良くない横柄な男だった。
「女で月50万の仕事というとだね、普通じゃ難しい、そこはわかっているね」
富美子を前に立たせておいて、自分は椅子にふんぞり返っていた。
「普通じゃ難しい・・といいますと・・」
「きまっているじゃないか、アダルトとか、風俗とか・・」
「そ、それは・・、普通のファッションとかモデルとかありませんでしょうか」
「ま、それは、井上さん(富美子)綺麗だから、願望はわかるけども、29歳といえばもう三十路だろ、無理だね」
「わたし、風俗なんて・・」
「生きるためにみんながんばってやっていることだから、やってできないことはないはずだよ、鈴木社長もやむをえんと言っておられるんだ」
「鈴木さんが・・ですか」
「ああ、そうだよ・・、じゃー早速、からだ見せてもらおうか、裸だよ」

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